愛する人にめぐりあうことが、時としてとても長い道のりに見える事があります。

私達の中には、さまざまなことに思いをめぐらせるがゆえに、また生活の忙しさや家族を支えていことの大変さゆえに、愛する人にめぐり合う事や、関係をはぐくんでいくことができないままにいる人もいます。その人自身はとても魅力的で、いろんなことに気を配り、深い優しさや強さをもって毎日を生きているのに、それを分かってもらえない、分かり合う相手にめぐりあえないでいるひともいます。

でも、そんな中でも、そして誰にでも、ある日突然めぐり合い、この人と一緒に生きていきたいと思うようになる事があります。せめて少しの間でも、分かり合う時間を持ちたい、語り合い、同じ時間を共にしたいと思う事があります。そんな人にめぐり合えたことをとても幸せに思える瞬間があります。
でも・・・・。私たちはそこでまた、さまざまに思い悩んでしまう事があるのです。自分の気持ちの事なのに、自分だけの事じゃない。そういう思いにかられてしまう瞬間があるのです。

愛する人と生活をともにするということは、ただ愛があればたやすいというものではありません。相手の考えや気持ちとのすれ違いを感じるときもあります。相手の家族も生活の中にときに見え隠れします。お互いに自分自身だけの価値観では生きて行けなくもなります。そんな中で、私達はどうやってパートナーと互いに分かり合っていけば良いのでしょうか。何から話し始めれば良いのでしょうか。

きょうだい達の中には、障害についての話をどう切り出して良いのかわからないという人がいます。一方で、ごく自然に話しているという人もいます。また、全く話す必要はないという考えの人もいるようですし、お付き合いするためには話しておかなければならないというふうに考える人もいるようです。そして実際に、好きな人に話すとき、様々な思いから泣き出してしまう事もあるでしょう。私自身、そのことについてとても悩んだ時期があります。悲しい話をしているわけでもないのに、涙が出てしまったこともありました。ただ兄弟姉妹の話や家族の話をするだけでも、ときにひどく悩んでしまう私達は、どんな風に人を愛し、付き合い、そして生活していけば良いのでしょう。私達の気持ちをどうやって表現し、わかってもらい、そして受け入れてもらえばよいのでしょうか。

私達のパートナーは、時に、私達のことをわかりにくい、不思議な考えを持った人だと思ってしまうときがあるかもしれません。私達が長い時間の中で作り上げてきた自分を守る壁や、人に対する時の行動、しぐさが、ときとして今までに見たこともないようなものに、相手の目に映る事もあるでしょう。私自身、「おまえは変わっている。変わっているから面白い」と良く言われたものです。そんな人達に私達は何を伝えるべきなのでしょうか。また何を伝えるべきでないのでしょうか・・・。

また逆に、たとえ愛する人のする事であっても、私達にとって許せない事や、理解できない事があるかもしれません。相手が私達を判りにくいと思うように、私達から見た相手もまた、わかりにくいところがあります。ほんの軽い障害があるだけなのに、「障害」というだけで何もできない人のように思っている相手の言葉に戸惑ってしまう経験をしたきょうだいもきっといるでしょう。また、障害があるがゆえにどうしてもできない事を、さも怠けているように見ている相手の言葉や行動にため息をついてしまうこともあるかもしれません。そんな時、私たちはどうやって、相手のことを知り、理解して行けばよいでしょうか。どんなふうにそれを受けとめれば良いでしょうか。

私達は、愛する人の気持ちや感覚をわかりたいと思います。そしてできることならば受け入れていきたいと思います。ただの友達ではないのですから、互いに分かり合うために、私達も一生懸命相手の事を考え、相手が経験してきた事を考えて、それを理解したり、理解できなくてもせめてそれを受け入れられるようになりたいですよね。そうしてはじめて、私達も「わかってほしい」「お互いに分かりあいたい」といえるのではないでしょうか。

私達は、確かに沢山の悩みを抱えています。けれどそれは他の人も同じことかもしれません。それぞれの家族がそれぞれの問題を抱えていて、私達が好きになった相手も、私たちと同じように他人にはわからない悩みを抱えているかもしれません。私達は、まず自分を救わなければならないかもしれませんが、それと同時に相手も受け入れて行きたいと思います。そして、互いに支え合えるような関係になれればと思います。障害児・者のきょうだいであるからというだけで、パートナーに助けてもらわなければならない存在ではないと思うのです。私達も、周囲の人達に理解されなかった悩みを持ちつづけてきた経験をもって、パートナーを支えていく何かの力にできるのではないかと思います。私たちが、周囲に分かってもらえなかった経験をたくさん持っていればいるほど、相手もまた周囲に理解してもらえない葛藤を感じている事をより深く理解する事ができるのではないでしょうか。

その人が、平気な顔をしているときに何を心にしまいこんでいるのか、その人が泣いているとき、私達に何ができるのか、それを判ることができるのは、中身は違えど一生懸命悩み考えてきた私達なのだと思いたいですし、実際にいつかそう言う風になれる日が来ると信じていたいと思います。

このサイトでは、きょうだいの配偶者の方や、結婚されようとしている方や恋人も登録させて頂いて、お話をさせていただいています。時には、つい過保護になりがちな親の事で、まるで本当のきょうだいの様に意気統合する事もありますし、また時には、互いの考えの違いを見つけて語り合う事もあります。

パートナーシップは、すべてのカップルに一つずつ別々の形があります。私はこうしてうまくいったからあなたもそうしたら良いというだけではなく、むしろ出来合いのパートナーシップを語り合うよりも、どう作っていこうか、どうやって自分のパートナーと分かり合っていくかに付いて、時に話し合い、時にのろけあいながら、考えて行ければと思います。

障害児・者のきょうだいの配偶者の方、恋人の方、どうぞいらしてください。そしてほんのささいな出来事の見え方の違いを話して見ませんか。そして、ほんのちょっとだけ、自分のパートナーとの気持ちのすれ違いのわけを考えて見ませんか・・・？