（コラム）SIBGATE開設にあたって・・第6回　ともだちといっしょに
きょうだい達は、時に周囲の人達の何気ない一言や動作に大きな影響を受け、喜んだり哀しんだりする事があります。ですがその気持ちの動きは必ずしも周囲には理解されにくいこともあるようです。それゆえに年を経て経験を積むにつれ、そういった内面の出来事を口にしたり表現する事をしなくなっていくこともあります。このことがよけいにきょうだいそれぞれの気持ちの動きを親や友達、恋人にとってわかりにくいものにしていく事があります。経験が重なるたびに、繰り返し繰り返し同じことをさまざまに悩み考えていくうちに、一筋縄では説明できないような考え方や理由・感覚が、きょうだい一人一人の中で、違った形で形作られていく事もあります。

そのようななかで、普段の生活でも意見が合わないことやものの見方の違いから話が合わないことが増えていき、孤立を感じるきょうだいも少なくありません。こうしたことは、周囲の無理解もさることながら、私達一人一人の思いこみによるところも大きいのです。ただ、現実の生活の中でそれらのことをひとつひとつ口に出して話しあい、確認していく事はそれ相応の時間とリスクを伴いますから、容易にできることではありません。

たとえばきょうだい達の中には、さまざまな経験から他人の心の動きに非常に敏感になっていたり、時に本人よりも深く心の動きを洞察してしまう人がいます。「このひとは、心のそこではそう思っていないけれど、やさしさを持ってそう言ってくれているのだな。」とか、逆に「この人はやさしい言葉を書けてくれているけれども本当はそんな事に興味はないのだ。」とか、さまざまに思い描きます。それはあたっているときもあれば、全く違っている事もあります。しかしそこでそれを確認する事はたいていの場合適切でないために、私達は自分たちの経験を理由に判断した事を、その後の出来事の中で確認する事なしに強化していってしまうこともあります。そういう背景のなかで私達が感じる、してほしい事、言ってほしい事と言うのは、必ずしも正当なものではない事も十分に考えられるのです。

当然の事ながら、私達の生活は私達だけの要求だけで成り立っているわけではありません。私達と関わる多くの人達との関係の中で成り立っています。そこでこのサイトでは、きょうだい一人一人が関わりをもつさまざまな人達とのやり取りの中で互いの相違点はどこにあるのかについて議論を深め、そのなかで互いの理解の仕方を学んで、よりスムースなコミュニケーションと思いやり、情報の交換を行って行ければと考えています。

本サイトではきょうだいのみの視点にこだわらず、きょうだいが接する機会を持つすべての人達との意見交換を通して互いの視点の違いを明らかにし、どちらが優位でもない、対等の立場に立った上での相互の理解を促進することをもっとも大きな目的の一つとしています。そのため、このサイトには、相互理解のための意見交換ページとして「Know Each Other(メッセージのページ)」が公開されており、どなたでも書きこんでいただけるようになっています。友達、恋人、配偶者、パートナー、そして両親など、きょうだいたちと非常に密接な関係にある人達や、先生、施設や作業所の職員さんなど、障害のある兄弟姉妹を通して接する機会のある方々、さらには大学や研究機関で「障害児・者のきょうだい」をテーマにされている研究者の方々とも、有益な意見交換や情緒的な部分での歩みよりなどができればと考えております。

どうぞお立ち寄りください。そしてあなたの目から見えるものを私たちに教えてください。