トム・ハンクス主演の映画「グリーンマイル」を観ました。

グリーンマイルは、死刑囚のいる監獄のお話です。そこにやってきたのは見上げるような黒人の大男「ジョン・コーフィー」。その彼の起こす奇跡と命の話でした。最初はもっと現実的な話なのかと思って借りてきたのですが、実は奇跡のお話しでしたので、ちょっと見ながらびっくりしましたが、なかなか楽しめました。

お話の中で、ジョンがポール・エッジコム（トム・ハンクス）から病気を取り去った後、口から悪いものを吐き出すシーンは妙に実感しました。私も昔は、他の人の悪いところに手を当てて吸い取ったりあっためたりする感覚を持つことができたのですが、そのあとにやはり深呼吸をするというか、呼吸を通じて悪いものを空へ吐き出す感触を持ったことがあります。これは別にハンドパワーでもなんでもないので、きっとそういうイメージが分かりやすいというだけのことだとは思いますが、なんとなくあの口から悪いものを吐き出すシーンは体が共感してしまいました。

さて、このサイトならではのきょうだいとして注目のシーンにお話を進めましょう。それは冒頭にも出てくるセリフ

「いいか、騒いだらおまえの妹を殺すぞ」

です。

大切なきょうだいの命を使った脅しは私の目には、私の心にはどんな凶悪な犯罪よりも悪いこととして映りました。そんなセリフがこの世にあっていいのか？と思うほど嫌なセリフでした。

このシーンは物語りの中盤より後ろに出てくるので、これから見る人のためにこれ以上シーンの説明はしませんが、そのときに思ったことを感想としてお話しします。
なぜ件の姉妹は殺されたのか。それは犯罪者が殺したからではなくて、どうして逃げずに、騒がずに黙って殺されてしまったのか・・・・。それは物語のセリフの中にも出てきます。「二人の愛を使って殺した」というセリフです。

きょうだいということでお話をしていると、時に自己犠牲という言葉に出会うときがあります。「きょうだいのために私はどんなに我慢しているか」、「家族のために私は我慢しなければ・・」ということが出てきます。そしてひょっとするとそれを利用している人たちがその周りにいるのかもしれない。それはまるで映画の中の犯罪者のような凶悪な顔ではなく、もっと普通にどこにでも居る人たちが、まるで同じことを言っているのではないかと思うときもあります。

「いいか、おまえがいなくなったらおまえの妹は・・・」という言葉を口にする人はいません。けれど私は、その言葉をまるで耳元で言われているように感じることがあります。でもそれは幻想や妄想かもしれません。本当は誰もそんなことを言っていないのに、私だけが勝手にそう感じているだけかもしれません。

映画の中でもそう思うことができます。「結局騒いで助けを呼ぶ以外に助かる道はないじゃないか」と。けれど現実に自分がその立場になると不思議に声が出ないものです。そしてなすすべもないまま、運命にもてあそばれるようなことも・・・。

私は、この映画を見て、「声を出して、叫んで、私も妹も両方助かる道を選ぼう」と、このわずかなシーンを見ながら思いました。

「こんなことは世界中で起きている」というセリフは、凶悪な犯罪ではなく、そんな日常の中での出来事のことを言っているのかもしれません。

ご覧になった方、あなたはどう思われましたか？

http://www.greenmile.net/ ・・・