今回と次回は、すこしたとえ話をしたいと思います。

今回は、私達が家族で旅行をする時・・というお話です。
私達が「障害者の・・」というカテゴリに属する部分的な存在ではないということを説明するためのお話です。

そうですね・・・たとえば、私達が両親や障害を持つ兄弟姉妹、つまり家族と一緒にハワイ旅行をすると考えてみてください。私達はまず最初に障害者向けの施設や情報を探すでしょうか？　探すべきでしょうか・・？

・・・・そうではありません。そうあるべきでもないと思います。

私達はまず、ハワイ島の美しい自然を見るスポットやワイキキ周辺のさまざまな観光・買い物スポットを思い浮かべるでしょう。そしてそのために便利な宿や、きれいなホテル・コンドミニアムなどを思い浮かべるでしょう。そしてそこで楽しく過ごす時間をイメージします・・・・。明るい太陽と青い空、青い海、緑の芝生、白い砂浜、荒荒しい火山の山肌・・・。そうしたすばらしい眺めを楽しみたいと思うのは、観光旅行に行くすべての人の動機だと思います。また、安いブランド商品、いい香のする香水、素敵な洋服や水着・・・、時に宝石や家電製品まで・・・。アラモアナのショッピングセンターで何を買おうか・・・。これもハワイ旅行をするすべての女性が（・・・と言っては言い過ぎですが）思い描く事だと思います。

私達もそうです。旅行に行きたいのであって、旅行に連れて行きたいのではないのです。極端に言えば、私達が行きたいのであって、その中で、障害を持つ兄弟姉妹も楽しめたらいいなと思うのが私達の視点ではないでしょうか。・・・まず私達自身がぞんぶんに楽しめたうえで、さらに障害のある兄弟姉妹もたのしく過ごせる施設やサービスがあれば・・・と考えるのではないでしょうか。・・・いえ、連れて行こうかどうしようか？と考えるのかもしれませんね。

このように、私達はすべてのことを「障害の・・・」と考えているわけでないこと、また考えたいわけではない事は、おわかりいただけると思います。私達の生活の楽しみ・安らぎ・つらさ・哀しみのなかに、障害を持つ兄弟姉妹の事が時に大きく、時には見えないほど小さく関わっているだけなのです。それこそが、本当のきょうだいの視点ではないでしょうか。

障害者にやさしいから、私達は家族でディズニーランドに行くのではないのです。私達が楽しいから行きたいのです。障害者でも不自由なく動き回れるから、一緒にダイビングをするのではないのです。海の底がきれいだから、泳いでいる感覚が気持ちいいからもぐりたいのです。そして、もし障害のある兄弟姉妹が楽しめない所があったとしたら、その事が私達の楽しみも削ってしまうから・・・だからそういう場所にはいきたくないのです。私達主体の望みがあって、そして家族の事も忘れない。決してその逆ではないのです。

ですから、このサイトでは例えば映画紹介一つ取っても、障害者が出てくる映画をご紹介するという事だけで終わらないようにしたいと考えています。むしろ今はやりの映画や、レンタルで出たばかりの映画など、普通の映画をきょうだいの視点で紹介していきたいと思います。その中で、「・・の」きょうだいとしてではなく、私達自身としての楽しみ方やうれしさ、悲しさという感情を取り戻していければと思います。また、イベントやスポットの紹介なども、きょうだい一人一人の個人の視点で情報の提供を図っていきたいと考えています。単に障害者に便利なサービス情報の案内ではなく、私達と私たちの配偶者や子供たちが楽しめるスポット・イベント・情報をベースに、もし障害のある兄弟姉妹も一緒に行くとしたら・・・いかないとしたら・・・という場合も考えた情報を集めて行ければと考えています。

障害者のきょうだいの方や、そうでない方でも、楽しいスポットやイベント、サービス、また映画や本など、ご存知でしたらどうぞお寄せ下さい。お待ちしております。