すごく簡単なことです。

僕が誰かに嫌われたり、石を投げられたり、石を投げられるのよりもっとつらい言葉や気持ちを投げつけられたりしたとき。

そんなときに僕には二つ以上の理由があります。

ひとつは、こういう境遇に生まれたということ・・・自分のきょうだいに障害があるということ。

そしてもうひとつは、僕自身に問題があるということ。

そのどちらかなのか、それは多分その石を投げた人に聞いても判然としないのでしょう。時には、僕だけの問題で嫌われることもあると思います。時には、妹のことでなぜかその矛先が僕に向くこともあったでしょう。

それがどちらであろうとも、石を投げてくるような人とまともに会話ができるわけもなく、その理由は確かめられることはないまま時が過ぎてしまいます。

一人でその理由を思い悩むとき、最初は、自分の問題を考えました。だって小さいころは、障害ということと石を投げられるということは全然別のことですからね。だから、自分が悪いのかと思って、自分を責めもします。

そこで、誰かが、障害者差別なんて言葉を吹き込むでしょう。
そうすると、僕は逃げられると思いますか？

・・・・全然逃げられません。

自分の兄弟姉妹を、自分の出来事の理由にしようとすることは正しいことですか？許されることですか？

そういう風にそれを理由としようとしたこと自体が、またかえって僕をさいなみます。そんなことを考えるんだ？自分の性格やら行動やらを棚に上げてそういう風に他の誰かに理由を押し付けるんだ？　

そういう風に自分を責めるもう一人が必ず出てきます。
そういう「優しい自分」が。

どちらにもいけない自分が、どちらかに行こうとしてぐるぐると回っているのが見える気がします。

そんな風に、自分をさいなむ２つの理由を抱えたことが、あなたにもありませんか？

そんな風に、どっちにいってもだめなとき。
そして、本当は、石を投げたその人に理由があるかもしれないことにどうしても行き着けないとき。行き着きたくても、確認するすべがないとき。

理路整然と、理由をひとつずつ確かめていくこともできず、二つの理由の間でぐるぐると回り続けたことが、あなたにはありませんか？

自分のことで嫌われた経験と、障害のことで嫌われた経験の両方を持つことで、薄暗い森に迷い込んだような気持ちになることが、あなたにはありませんか？